“デザイン性重視の住宅デザイナーズハウスは、モダンなものから前衛的なデザインまで、デザイナーの方向性が現れるのが特徴です。また、比較的大きめの建築事務所であれば、いくつかの住宅プランとして好みを選び、デザイナーズハウスを建てることができます。住宅プランには、変わった土地の形に合わせて造られたものや、狭小な土地を上手く活かしたものもあります。

しかし、伝統的なデザイン重視で造られるデザイナーズハウスもあって、こちらはより比較検討に加えやすいといえます。伝統的デザインの住宅は、日本の場合だと和風で落ち着きが感じられたり、現代的な洗練が合わさって魅力が引き出されます。伝統的といっても、和風は住宅プランの1つに過ぎませんから、例えば伝統的なアメリカの家やヨーロッパの西海岸の住宅などもあります。どういった家を伝統的ととらえるか、また何処まで要望に応じるかはデザイナーや建築事務所次第ですが、相談しながらイメージを形にできるのは確かです。自分が望む方向性に合致するデザイナーと出会えれば、話し合いを進めながら細部まで磨きを掛けて、理想を形にすることが可能となるでしょう。日本の伝統的な住宅も奥が深く、戦後多くの日本人の誰もが夢見た、そういう少し懐かしい戸建ても提供されています。
それも、テイストを抽出して新しい形に昇華していたり、昔見た家の形をほぼそのまま再現しているケースもあります。このようにデザイナーズハウスは幅広く、10人のデザイナーがいれば、10人が異なる住宅プランを提案したりします。日本の伝統的な家屋は、気候風土や土地に合わせて考え出されているので、完成されていて手を加える余地はないと思われます。
ところがデザイナーは現状に満足しませんから、伝統をリスペクトしつつ自分なりに形を作り変えます。その結果が、洗練性を高めたモダンなものや、原型を留めない前衛寄りだったりします。昔懐かしいデザインは、デザイナーズハウスで造るとなると、実は非常にハードルが高くなります。理由は簡単で、それは手を加えた部分が目立ったり、デザイナーの腕の良し悪しが隠せないことにあります。伝統的というと聞こえは良いですが、古き良き時代に思いを馳せる贔屓目の部分があるので、実際は不便だったり不満を覚える部分が美化されているものです。
その点、現代で住宅を造るデザイナーは誤魔化しが利きませんから、全てにおいて完璧を追求する必要があるからこそ、ハードルは高くなるわけです。住宅プランが多数用意されていても、それがデザイナーの腕の全てと限らないので、何度も繰り返し話し合って、自分の頭の中の理想を形にしてもらうことが大切です。”