SDGsで注目されているHVACシステムは、屋内スペースの温度や湿度、空気を総合的に管理する総合的なエコシステムです。セントラルヒートやセントラル空調方式と呼ばれる場合もあり、個別空調方式も知られています。高度なシステムであるため、複合商業ビルや超高層ビル、官公庁などの限られた施設や建築物にのみ採用されていましたが、持続可能な社会を目指す上で重要な機能を持つシステムとして注目を集めるようになりました。また現在では個人宅向けも開発されるなど、省エネ住宅の普及と促進を実現を目指すさいのキーテクノロジーだと考えて良い存在です。
HVACシステムは、環境へのマイナスの影響を小さくすると同時に快適でありながら、効率的にエネルギーを活用します。セントラルヒートの基本的な構造としては、1箇所で生み出した熱源を水・空気・蒸気の形で、建物内の各部屋やスペースへと循環させたり熱交換させながら設定された温度に調整します。空調システムに欠かせない換気では、外調機を用います。室内の空気を屋外に排気するさいに熱または冷気を取り除くと同時に、新鮮な空気を屋外から取り入れたさいに熱または冷気を与えて、換気に伴う室温変化を最小にします。建物全体で管理するので個別の温度設定が必要なく省エネにつながる反面、部屋ごとやエリアごとの温度設定はできません。しかし最新のものではエリアごとに設定できるものもあります。またセントラルヒートは熱源を生み出す専用の機械室を必要とするため、リノベーションを通じて導入するのは難しくなっています。建築物の設計段階で組み込まなければならないため、大規模な施設でなければ導入コストが見合わないという一面もあります。
個別空調方式の構造は、ビル用マルチエアコンと呼ばれるものとほぼ同じシステムです。冷暖房同時運転ができるのが特徴になっており、ビルの規模に関係なく設置できます。ただし社員や利用者に省エネ意識が乏しいと無駄な温度設定にしてしまい省エネ効果が薄まったり、コストダウン効果を感じられない場合もあります。エネルギーコストという面ではセントラルヒートに及びませんが、快適性という点では優れているのでセントラルヒートと併用される場合も多くなっています。各スペースや部屋ごとに温度設定できる小回りの高さに優れており、併用することで快適性と効率的なエネルギー利用に繋げられます。HVACシステムは、我々の生活に欠かせないエコシステムへと進化しています。