雨水を貯めて再利用する雨水貯留槽は、環境負荷軽減によるサステナビリティの実現や、災害リスクの軽減で役立つ設備です。雨水貯留槽の仕組みには、雨樋から流れる雨を貯めたり、浄化槽を転用して利用するなどの特徴があります。貯まった雨水は蛇口から出てきますし、許容量を越えた分はオーバーフロー管から流れる仕組みになっています。蛇口にホースを取り付ければ水やりに使うことができますから、水資源の節約と水道料金の削減に役立ちます。
また、雨水を一時的に蓄えておく形なので、河川などに流れ出る水の量を抑えることが可能です。つまり河川が氾濫するまでの時間稼ぎに繋がりますから、氾濫そのものを防いだり、避難が必要になっても余裕を持って行動できるようになるわけです。雨水貯留槽の設置にはコストが掛かるので、普及には時間を要しますし、設置義務を押し進めなければ日本での普及は見込めないでしょう。勿論、設置コストの一部を国、あるいは自治体が負担するなどの方策が不可欠です。既に助成制度を始めている自治体はありますが、全国的に見ればまだまだです。温暖化や気象の変化によって、今後日本の降雨量が増加したり、災害リスクが高まる可能性は十分にあります。大雨による災害の発生が毎年のことになるのも、もはや時間の問題だと思われます。
災害リスクを抑える方法はいくつかありますが、雨水貯留槽は現実的な選択肢の1つになるはずです。ダムを設置するにもコストと時間が掛かりますし、地元の理解や場所が限られるのでハードルは高いです。その点、数万円から数十万円のコストで済む雨水貯留槽は、日本での災害リスク軽減の一手になるでしょう。普及に必要なのは認知と重要性の理解、そして雨水を再利用するメリットの啓発です。まずは公共施設で先行して導入を進め、有用性を一般に伝えていくのが得策です。設置義務を強引に押し進めると、反発を招きかねませんから、最初はあくまでも努力義務に留めた方が良いです。
フィルターでろ過をすると雨水が飲み水としても使えるので、再利用できるメリットは大きいです。万が一災害で水道管が壊れてしまっても貯水設備があれば安心、というような形で広報していけます。導入までにはコストの問題と心理的なハードルこそありますが、導入してしまえば壊れるまで使い続けられます。長く使えるものほどお得感が得られるので、耐用年数の高い長寿命タイプだと、人気に火がつき一気に普及する可能性に期待できます。継続的に節水で水道料金が節約できるとなれば、導入検討の切っ掛けに繋がる魅力になるので、そこもまた普及の鍵を握ります。